『ボストンバッグ』は、日本のバンド・成田商事による1枚目のミニアルバム。2022年10月26日にTOKYO RECORDSよりリリースされた。全7曲収録で、すべての楽曲の作詞・作曲・編曲を寺岡呼人が担当している。
この作品は、元・男闘呼組の成田昭次と、寺岡呼人(元JUN SKY WALKER(S))、青山英樹(ドラマー)による3人組バンド・成田商事としての初のフィジカル作品であり、先行配信された「ボストンバッグ」「社員募集中」を含む楽曲群によって、バンドの方向性と世界観が明示された内容となっている。
本作は、有線放送ランキングで「ボストンバッグ」が1位を獲得するなど、リスナーからの高い支持を得た。
背景と制作
2022年6月のライブ出演を経て結成された成田商事は、同年9月に配信シングル「ボストンバッグ / 社員募集中」をリリース。同月から10月にかけて「成田商事 入社式」と題したライブシリーズを開催し、同ライブで披露された楽曲群を収めたミニアルバムとして本作が制作された。
アルバムタイトルにもなっている「ボストンバッグ」は、夢と再挑戦をテーマにした力強いロックチューンであり、寺岡呼人のプロデュースによって成田のボーカルとストーリーテリングがより際立つ作品となっている。
収録曲と楽曲解説
作詞・作曲・編曲:寺岡呼人
1. 成田商事ー社歌ー
社名を冠したオープニング・トラックであり、成田、寺岡、青山の3名がそれぞれの役割を名乗るコミカルな構成。「明るく前向き」「誰かを幸せに」というモットーを掲げた社歌スタイルで、バンドの理念と結束を象徴している。
2. フィフティーズ☆ブギウギ
50代を迎えたミュージシャンたちが、なおも夢を追い続ける姿勢を歌った軽快なブギウギナンバー。「笑われてもいい」「転んでもいい」というリリックが、現代のミドル世代にも響く応援歌として機能している。
3. Hello! Hello!
人生の再スタートを高らかに宣言するポジティブなロックナンバー。「出たとこ勝負」「今んとこ問題なし」という楽観的な姿勢と、そびえ立つ壁を飛び越えるイメージが、聞く者にエールを送る。
4. 主人公
誰もが人生の主役であるというテーマを掲げたミディアムテンポの楽曲。舞台設定を“映画”に見立て、自身の物語を生きる意志と孤独を歌い上げる。歌詞の「代役は誰もいない」という一節は、自立と自己肯定の力強いメッセージを含んでいる。
5. ボストンバッグ
本作のリードトラック。夢を抱いて上京した若き日の自分と、現在の自分が向き合う姿が描かれる。「愛するものが増えてくたび 荷物は重くなった」という一節に、人生の重みと成長がにじむ。音楽的には、ストレートなロックサウンドとともに成田のボーカルが力強く響き渡る。
6. 合鍵
愛する人との再会と信頼の回復をテーマにしたバラード曲。遠く離れた恋人に語りかけるような優しいトーンと、雨の情景描写が切なさを引き立てる。サビの「僕を信じて欲しい その日まで」は、未来への約束として心に残る。
7. 社員募集中
バンドの“社員”=ファンを募集するというユーモラスなコンセプトソング。ロカビリー調のアレンジとコール&レスポンス可能な構成がライブ映えする。バンドのドラムスである青山英樹が自身の名前を口にする場面があり、基本的に演奏専念で歌うことの少ない青山の“声”が聞ける貴重な1曲としても知られている。